心の整理整頓①
まだあたたかいその手は握り返してはくれなかった。
わたしの主人は1年前の冬に亡くなった。
がんだった。最後まで闘って逝った。
これはわたしがちゃんと前に進めるように
体験した事や思った事
そして悲しかった事などを綴ろうと思う。
心の整理整頓を始めます。
2021年12月31日大晦日
主人は昨日からお腹が張っていて
これは便が長い間出ていないからか
今日は吐き気もあり表情は険しい。
それでも私に
「散髪行っておいで」と気遣いをみせる。
訪問看護になって2ヶ月。なるべく家で
過ごしたいという主人の切なる願い。
でも通院から訪問看護になり
いろんな事が変わり主人も不安な毎日を過ごしていた。
お言葉に甘えて午前中散髪へ。
鏡に映るわたしは白髪のせいもあるが
びっくりするくらいしんどそうだった。
髪はボサボサ。肌はカサカサ。
こんなしんどそうな顔でわたしは主人の世話をしてるのか。
しんどい主人に気を遣わせてたのはわたしだった。情けなくて涙が出た。
元気を出さなければ。改めて誓い帰宅。
ただいま。と主人の側へ行くと明らかに顔色がおかしい。吐き気がひどい。背中をさする。浮き出た背骨が痛くならないようにさする。もう吐きそうとなり
洗面器を口にあてがえると
真っ赤な血を吐いた。何度も吐いた。
わたしは少しびっくりしたが逆に冷静になり
時間・量・色・匂い・息・口や喉に何か詰まってないか・尿便はもらしてないか
など考えながら
痩せた体で苦しそうに血を吐く主人に
大丈夫やで。わたしがおるよ。病院にはすぐ連絡しよね。まだ出そう?全部出たら口すすごうね。
って言いながら背中さするしか出来なかった。